Chapter 7 - バブーシカ -

- バブーシカ -


バブーシカは外国から来た女で、言葉が通じなかったから

誰かが〝Babooshka”、つまり名無しと名づけて呼び始めたんだ。

まだカエル島に富豪がたくさん出入りしていた頃、

芸術家たちを住まわせていたマンションの、その一室で指輪やネックレスを作っていた。

どこか面白い女で、お前のおじいさんは彼女の作るものを気に入っていたんだ。

ある時、あいつは指輪を注文しにカエル島まで出かけて行ったが

お屋敷で彼女が行方不明になってしまったと言った。

高い所から裏の沼に落ちたようだが、

沼は藻が多くて

とうとう遺体は上がらないまま。

危ないからとそれからしばらくして沼は埋め立てられてしまったんだ。

あれからちょうど50年。

お前はあの頃のあいつとよく似ている。

名前も同じ、ガブリエーレだ(※)。


マッシミリアーノは鳶色(とびいろ)の目を輝かせるようにして

僕の顔を見つめながら言った。


『バブーシカは、今度は助けてもらえたんだ。』









(※) イタリアの古いしきたりとして、祖父母の名前をもらうことがある。



The tales of "A thousand spells" jewelry

from another world🌙






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