Chapter 2 - メゾンドカメリア -

ー メソンドカメリア ー


カエル島まで舟を漕いだせいで、汗ばんだ背中のシャツが夜風に触れて涼しい。

耳を澄ますと、吸い込まれるような虫の鳴き声や、

時折水面に浮かび上がる

泡の音が聞こえた。


静かな満月が木々の間を見え隠れする。

湿った土の匂い。

人は住んでいなくても

島は生活していた。



どれくらい歩いただろう。

ふいに森が途切れて崩れかけた塀が現れた。


半分以上倒れてしまった煉瓦(れんが)は黒くごつごつとして、

がれきの上を歩くとガラスを踏んだような音を立てて砕けた。


静かにアーチをくぐる。


古い飾り煉瓦にはりついて置物のように動かないカエルの黒い瞳が

一瞬、こちらを見たような気がした。


湿った空気を吸いながら、不思議な気持ちで外門をくぐり抜けると

庭は規則正しく並んだ飛び石が敷かれ、

その向こうで針の先端の欠けた日時計が

歪んだ老人の顔のようにこちらを見ている。


メゾンドカメリアは、島で一番古いマンションだった。




The tales of MIYOSHI jewelry

from another world🎃




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