Chapter 1 - 月夜の尋ね人 -


ー 月夜の尋ね人 ー

夜はいつになく静かで
湖上の水は舟の先にやさしくぶつかり
月明かりに照らされた水紋はまるでうごめく金竜のように
黒いエナメルの水面をゆっくりと光りながら広がっていった。
月の円い今夜、僕はひとりで街を抜け出し、
行ったこともない場所へ向かって慣れない手つきで舟を漕いでいる。

僕は一体何をしているんだろう。

街の暗い空とはうらはらに、
ここの空は天と呼ぶのにふさわしく
人の願いの数ほどの星と真珠色の雲が音もなく息をしていた。

一秒ごとに近づく島の森は深く青く、その上に聳え立つ錆びた発電所は月明かりに照らされ鈍く光りながら高いところからこちらを静かに見下ろしている。

長い夜が始まろうとしていた。


The tales of  MIYOSHI jewelry
from another world🎃