Prologue - 不思議な手紙 -
ー 不思議な手紙 ー
大学があと数日で夏休みに入る頃、
今年に入って一番の豪雨にみまわれた。
あわてて覗いた家の郵便受けに
手紙が一通投函されているのを見つけた僕は、
インクがにじんで読めなくなった差し出し人の名を気にしながら
急いで家に駆け込んだ。
封筒は普通の白い紙のもので、なにやらずい分汚れているように見える。
宛先には確かに僕の名が書かれていた。
誰からだろう。
部屋へ戻って机の上に手紙を置くと、濡れた体を拭きながらそれをじっと見つめた。
華奢な筆跡で、女性からの手紙のようだった。
僕は濡れた手の甲を拭ってもう一度それを手に戻すと
机の中からペーパーナイフを取り出し丁寧に封を切った。
手紙から漂うなんだか懐かしい香り。
中からまず取り出したのは1枚の手紙。
四つ折りの紙をそっと開くと、
まるで蜘蛛の糸のような細い字で
そこにはこう書かれていた。
” 次の満月の夜、
お手伝いに来ていただけますか?
きっといらしてください。
メゾンドカメリア 103号室の住人より ”
手紙はそれだけで終わり、封筒の中からはもうひとつ
ちいさな金属片が出てきただけだった。
僕は手紙を3回読みなおして、静かに机の上に置いた。
差出人も手紙の内容にも、まったく心当たりがなかった。
僕は椅子に腰掛けると
街に降る雨音を聞きながら、
濡れたオリウオロ通りをぼんやりと見下ろしていた。
The tales of "A thousand spells" jewelry
from another world🎃
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