透視図

この世はエネルギーで埋め尽くされていると聴いたことがある。


空気しかないと思われている空間に、

ぎっしりすき間なく人や物体のエネルギーが埋め尽くされていて

誰かの行いによって何らかのエネルギーがポコンと飛び出ると、

そこにあったエネルギーを押しよけてそこから色々な連鎖反応が生まれる。


エネルギーはお互いの形を変えながらそれでも無駄なすき間なく埋まっていることになる。



そしてそれはきっと、すき間なく模様の埋まったフィレンツェ彫りのアラベスク(唐草)に似ている。


無駄になる部分を作らずモチーフの彫られた彫り面のように、


こっちの葉をこんなカタチにすると、そのとなりの葉はこうなって、

 最後のすき間に入れる葉のカタチはこう。 

もしあっちの葉のカタチがこうだったなら、

その続きはまた違うけれどもお互いに押しよけ
ヘコみ合いながらも

このひとつの空間の中にうまくおさまっていく。

 思えば、
これを考えた昔の金細工職人は、

 実はこんな小さな場所にカンペキな宇宙を表現しようとしていたんじゃないか?


遠い昔にイタリアで生まれた金細工の彫刻は、

古人の思い描いた宇宙の透視図かもしれない。





MIYOSHI。作品

K18 Yellow gold

Diamond

Italian engraving