スピネル男子

旅をしていました。



ある日私は自分の体をゆっくり離れ、ふわり地上5センチ上の世界へ。


宙を歩きながら、

たくさんのイルミネーション、

様々な種類の穀物やスパイス、クリスマスの飾りが次々と通り過ぎていく。

きらきらと光る色とりどりの宝石はいずれも原石のままで、

自然界から街へ出てきました!

というような素朴な格好の女の人や男の人たちが手に手に光る石をもっているのを眺めて、

それから空(くう)を登ったり降りたりしながらある場所へ向かった。


私は行ったことのない都市の一角に、ある男がいるのをちゃんと知っていて、

上空から日の暮れ始めた人ごみの中を注意深く見渡した。

スピネルの原石のような魂はまるで黒光りしていて、

一度見たらきっと忘れないような不思議な存在感をかもし出している。

私はちょっとした高級品を扱う彼のブレーンに潜んだ

自分にはない感覚をもう一度確かめてみたかったのだ。