あとがき


数年前、偶然知った銅の精錬所。
岡山県の犬島を訪れて。

現在人口50人足らずのとても小さな島で、

今は廃墟になった精錬所を中心に、島中をアートとして紹介をしているんですが、

とても印象的な場所だったので、

犬島を思い出しておはなしをひとつ書きました。

メゾンドカメリアは、
富豪がアーティストを集めて住まわせていたマンションの設定で、
物語の内容はフィクションです。


架空の登場人物バブーシカは、

頬かむりをした老婆という意味があるんですが、

ケネディ大統領暗殺時に現場近くで目撃された正体不明の女性が頬かむりをしていた

ことから、名無し(正体のわからない女)の意味もあるようです。


お話の中のバブーシカは、もしかしたら元々この世のものではなくて、

死を知らず、歳もとらずにどこかでまだ奔放に生きながら

集めた流星の宝石を使って綺麗なものを作っているのかもしれません。


イタリアで彫金を最初に学んだ恩師が、

きれいな白髪で、美しい感性を持った大変優秀な彫金師でした。

一昨年、亡くなったことを彼の恋人から聞いて、

もう一度会えたらよかったなと思って残念です。

同性愛のふたりでしたが、

子供がいなくて結婚していなくても、

好き同士のふたりが添い遂げられるっていいなと思います。



通りの名前、

バールや市場などはフィレンツェ留学中の生活圏でした。懐かしいです。


現地では若者からお年寄りまで、たくさんの人が日常的に貴金属を身に着けていて、

それは誰かから贈られたものだったり、

親からの形見であったり、宝石店に注文したものだったり。

アクセサリーから資産価値のあるものまで

さり気なく日常に溶け込んだジュエリーの文化が昔からあって、

それが、その人その人の生き方の表れのようにも思えました。


星の数ほど、ジュエリーの数ほど、人の命と人生があって、みんなそれを楽しみながら生きてるのかな。

ジュエリーの輝きの中にそんなメッセージがあったら楽しいなと思います。

お話は、そういったジュエリーのエッセンスをちょっと交えながら書いたつもりです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


鈴木美良